はじめに:老後2000万円問題と“持ち家前提”の現実
数年前に話題になった「老後2000万円問題」。
当時は「貯金が2000万円あれば安心」と言われていましたが、その後、物価は上昇を続け、またその前提には“持ち家”が含まれているという事実があります。
つまり、家賃を払い続ける世帯では、2000万円では到底足りず、3000万円~5000万円が必要になるというのです。しかも、今後も上昇し続けるであろう物価高を考慮しなければなりません。
FIREを達成する前の私も、今後の老後資産をどのように設計するかは、大きな課題でした。
今回は、持ち家なしのFIRE達成者である私が、実際に組み立てている「60歳以降の老後資産計画」を紹介します。
FIRE後に考える「老後資産の三本柱」
私の老後計画を支えるのは、次の3つの柱です。
- 国民年金
- iDeCo(個人型確定拠出年金)
- ドル建て終身保険(ドルスマートS)
① 国民年金:老後のベース収入
まずは、老後生活の基礎となる国民年金。
私の場合、会社員時代を含めて17年間の厚生年金加入があり、その後は国民年金を継続しています。
年金ネットでの試算によると、
- 60歳から受給開始 → 約8万円/月
- 65歳から受給開始 → 約11万円/月
この金額は、物価変動に応じてスライドされる仕組みになっています。
インフレが続く今の時代、**年金は現金収入を補う「安定的なキャッシュフロー」**として非常に重要だととらえています。
② iDeCo(イデコ):老後まで動かせない“第二の年金”
次に、FIRE後も少額ながら継続しているのがiDeCo(個人型確定拠出年金)です。
現時点での運用資産は約600万円。この資産は60歳まで引き出せないという制約がありますが、裏を返せば「老後資産を確実に残せる」ことでもあります。
▪️運用シミュレーション(年率4%想定)
600万円 × (1.04)^20 = 約1,315万円
つまり、20年後の60歳時点で約1,300万円超に成長する見込み。
しかも、掛金が所得控除になるため、現役時代の節税効果も高いのがiDeCoの魅力です。
▪️FIRE生活とiDeCoの相性
FIRE後は収入が少なくなるため、税制メリットは薄れますが、それでも「資産を凍結できる仕組み」として非常に有効。
資産を取り崩さずに塩漬けしておけるiDeCoは、**“強制的な老後資金”**として位置づけています。
③ ドル建て終身保険(ドルスマートS):為替と時間で育つ“守りの資産”
3つ目の柱が、メットライフ生命の「ドルスマートS」です。
これは私がFIRE前の2019年に、老後資金の安定枠として加入したドル建て終身保険。
加入時のドル円レートは1ドル=105円、当時約700万円を一括払いしています。
▪️運用シミュレーション(60歳まで運用した場合)
700万円 ÷ 105円 = 約66,666ドル
最低利率年3%で運用した場合=92,300ドル(設計書の基づく数字)
つまり、15年後の2040年には約1.38倍になる見込みです。
もしこの時、為替が1ドル=160円まで円安に進んでいた場合、
92,300ドル × 160円 = 約1,477万円
円換算でみると、資産価値は約2.1倍。しかも契約から10年経過後は、最低でも3%以上は確実に増えていく資産でもあります。(計算方法はブラックボックスですが…)
このドル建て終身保険は、円安時代に非常に強い金融商品といえます。
▪️ドルスマートSの特徴(実際に加入して分かったこと)
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 円安時に資産価値が上がる | 円高時に評価額が下がる |
| 年3%前後の安定利回り | 中途解約で元本割れリスク |
| 満期後も死亡保障が継続 | 外貨建てゆえに為替管理が必要 |
| インフレに強いドル資産 | 保険会社の経営リスク |
短期売買に向かない商品ですが、私のように**「20年以上保有する前提」**なら非常に有効。
インフレ下の日本円だけで老後を迎えるより、ドル資産を一部組み込むことがリスク分散につながります。
60歳時点の老後資産試算まとめ
| 資産区分 | 想定金額(60歳時点) | 備考 |
|---|---|---|
| 国民年金 | 月8万円 | 60歳以降受給 |
| iDeCo | 約1,315万円 | 年率3%で運用 |
| ドルスマートS | 約1,477万円(1ドル160円想定) | ドル建て終身保険 |
👉 合計:約2,792万円+年金月8万円
もし他の投資資産(ETF・投信など)がかなり目減りしたとしても、
これだけの老後資産が確保できる計算です。しかも、iDeCo以外は受給額を後ろ倒しすれば、確実に資産が増えていきます。
FIRE後の“第二の安心ライン”としては十分現実的な数字といえます。
FIRE後に感じた「増やすより守る」という発想
FIREを達成した当初は、「いかに増やすか」を考えていました。
しかし、時間が経つにつれ「いかに減らさないか」の方が重要だと痛感しています。
iDeCoやドルスマートSのように、
- 長期で持てる
- 税制や為替のメリットがある
- 老後まで引き出さない
こうした“長期ロック型資産”は、FIRE後の安定性を高める重要な要素です。
まとめ:老後の安心は「今のうちに柱を作ること」
老後2000万円問題が再燃するなかで、FIRE生活者として強く感じるのは、
**「老後の安心は、今のうちに仕組み化しておくこと」**です。
特に、
- 国民年金 → ベース収入
- iDeCo → 長期育成資産
- ドルスマートS → 為替分散・インフレ対策
この3本柱を持っておくことで、将来の不安を大きく軽減できます。
老後資産は「増やすための投資」ではなく、「安心して使うための設計」。
FIREはゴールではなく、資産を次の世代の自分へリレーする過程なのだと思います。
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