自分の人生を変えた本はありますか。私が真っ先に思いつくのは、鷺沢萠の「少年たちの終わらない夜」という小説に収録された【ティーンエイジ・サマー】という短編小説です。将来に迷える当時10代だった私は、古本屋でこの本を見つけ、自分がやりたい事に進む勇気を貰えました。40代になった今でもたまに読み返すと、やりたい事は今すぐ実行しなきゃ!という気持ちになれます。ブログを読んでくれている皆さんにもぜひおすすめしたく、紹介します。
小説の内容
1989年に出版された鷺沢萠(さぎさわ・めぐむ)によるフィクション小説。彼女の初期作品のひとつで、10代最後の夏を迎える少年少女たちの日常を描写した4編からなる小説です。
そのうちの1編である【ティーンエイジ・サマー】は、10代最後の夏を過ごす少年たちが、周りの友人がどんどん大人になっていくなか、焦燥感や地に足のつかないような感覚を抱えながら、自分も大人に成長していく瞬間を切り取った小説です。
まさにド真ん中の青春小説で、年を取ってから読むと少し恥ずかしくなってしまうような内容ですが、誰も若い頃に経験したことのある感情にきっと共感するはずです。
影響を受けたこと
この本を読んだとき、私もちょうど主人公たちと同じ19歳。彼らと同じように、将来への不安を感じながら、一瞬しかないこの時間を大切にすべきなのに、どう扱ってよいかわからない焦りを感じて過ごしていました。同時に、きっと自分も周りと同じようなつまらない大人になっていくんだろうと思いながら。
主人公たちはいわゆる普通の大学生、小中高と12年間同じ学校に通った仲間がいます。同じ環境で育った仲間同士でも、親の金で留学したり、翻訳家の夢を見つけたり、地方の大学へ進んだり、それぞれの人生を歩み始めています。
そんな中、主人公の幼馴染でもあり、憧れの対象であったリンが、突然、アメリカに行くことを仲間たちに告げるのです。みんなの憧れでもあったアメリカ、その理由は「10代のうちにアメリカへ行く。20代になったらもうアメリカへは行けない気がするから」。
10代だからこそ、何かを盲目的に信じたり、打算的ではなく真剣に立ち向かえる強さがある。もし大人になってしまったら、きっとそれは失われてしまうから、だから10代のうちにアメリカへ行く。やりたい事があるのに、なかなか踏み出す勇気を出せなかった当時の自分にとって、これは衝撃的なセリフでした。
自分の人生をどう変えたか
この本を読んだ後、私も自分の夢であった海外留学に飛び立つ決意をします。彼らとは違って出発したのは20歳を超えた冬だったけれど。今でも思い出すのは、出発前の大きな不安と新しい事に挑戦するワクワク感。この本を読んだ事で、自分のやりたいことを決断する勇気が持てたのだと思います。
結果的に、この留学経験がその後の自分の人生に大きな影響を与える事になります。今になって思うのは、やはりあの時に決断をしてよかったということ。例えもし留学に失敗していたとしても、挑戦したあとの後悔より、挑戦しなかった後悔の方が自分にとってはきっと大きなダメージになっていたと思います。
この時の気持ちはいまでも自分の座右の銘になっていて、何かに挑戦したい、けれど勇気が出ないと思ったときは「虎穴に入らずんば、虎子を得ず」と念じて挑戦することにしています。思えば、40歳を迎える前に、退職してFIREするという決意をしたのも、この本の影響があったからだと思います。
まとめ
この本は1989年に発表されたかなり昔のもで、作者の鷲沢萠さんは2004年の35歳の若さで亡くなられています。自分にとって大きな転機を与えてくれたこの本は、どんな年代になっても挑戦する重要さを教えてくれるメッセージ性があります。何か新しい挑戦をしたいけれどなかなか勇気が踏み出せない、そんな人の背中をそっと押してくれる小説です。
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